2018.03.26 15:47『グレイテスト・ショーマン』評 過去の切断鑑賞後に感じた、物足りなさの原因は、歌パートで一気に物語を前進させられる感と、歌パートと歌パート間のぶつ切り感があるからか…過程(ストーリー)のおざなりというか、奥行きがないというか、子供騙しな成功譚という感じが否めない。ただ、この映画の単純明快さを、監督は自覚した上で作ったに違いないから、“ストーリーがシンプルすぎる”などと不用意に糾弾しすぎるのは却って自らの頭のシンプルさを露呈してしまうことに...
2018.02.25 02:55映画『スリービルボード』終わりなき判断の保留エンディングにケチをつける人がいるけど、それって、エンディングまでに丁寧に描かれてきたこの映画の主題を全否定することになってしまうよ。エンディングに対するモヤモヤ感というのは「結局犯人はだれやねん」ってことからくるものなんだと思う。ただ、個人的にはそんな風に、結果を求めがちな態度にこそ、今のこの社会の問題の根深さが現れているんじゃないかと思う。この映画で通底して描かれていたのは、意外とこの人は良い...
2018.01.22 16:07映画「gifted」の自己決定権の無さとタイトルの意味この映画のテーマを、「天才の子どもに対する適切な教育とは?」みたいなものを想定する人たちが多いが、個人的にそれよりももっとコントラストをもって迫ってきたものは、「子どもの決定権のなさ」である。これはありきたりな言い方をすれば、生まれてくる子どもは親(生まれてくる環境)を選べない、的な話。この作品は思った以上に、少女・メアリーの天才性よりも、少女を取り巻く大人たちに焦点が当てられている。法廷、育ての...
2017.12.03 06:20映画『メッセージ』評、そこから展開して考えた「未来を記憶すること」の可能性についてかったるい前座(導入文章や映画紹介)は抜きにしていきなりレビュー突入。この作品は、未来予知に必ずしも力点が置かれてるわけじゃない気がする。
2017.02.21 13:59沢木耕太郎の言葉から深夜特急シリーズで有名な沢木耕太郎が映画にまつわるあるエッセイでこう話していた。 『大人は過去を、子供は未来を映画に投影している。年をとるにつれ未来への夢よりも、過去の記憶の方が意味を持つようになる。』 なるほど。過去が豊富な大人は映画に出てくるキャラクターに過去の自分を重ね合わせることができる一方、子供はもともと過去(経験と言い換えてもよいだろう)の絶対量が少ないため、過去の...
2017.02.13 03:29演じることについて(3)演技の多重性 前回は「二重の演技」と題して、実生活上と舞台上の両方で演技する役者について書いてみたんだけど、実際はさらに複雑だ。役者の意識は、もはや二重どころではない多重構造になっていると思う。どうしてなのかっていうと、役者は舞台上で自らが演じる役柄の実生活上の演技(前回の投稿でいう”やくしゃ”)もしなければいけないからだ。 現在興行中の『ロミオとジュリエット』のロミオ役を演じ...
2017.02.03 05:34演じることについて(2)二重の演技 ぼくらは毎日、無意識的にではあるけれど何らかの役を演じている。例えば職場の自分と、仲のよい友だちと居る自分とでは、物理的には同じ自分であるが精神的には違う自分が存在している。また、「職場」で上司と話すのと、「飲み会」で上司と話すのでは、同じ人物が相手でも状況や場所によって、やはり自分の性質は異ってくる。(職場と比べ、飲み会という場の方が上司に対しリラックスして接している自分...
2017.01.31 13:35演じることについて(1)ぼくは単純に映画やテレビドラマとの接触回数が多いばかりに、<演技>というものを機械的にそれらと結びつけ過ぎていた。考えてみれば当たり前なのだけれど、演技というものは何も映画やドラマに出演する役者の専売特許ではない。<演技>を、肉体を駆使したパフォーマンスアートという広い枠組みで捉えてみれば、演劇はもちろん、オペラやダンス、音楽、バレエ、大道芸、漫才など実に様々なものを含んで...
2017.01.23 04:49二度目の宝塚歌劇先日、宝塚歌劇月組公演『グランドホテル/カルーセル輪舞曲』を見てきた。自分にとって四年ぶり二度目の宝塚鑑賞であったのだけれど、今回の方が随分感動した。 男役トップスター(宝塚歌劇だからもちろん女性)は、もはや男でも女でもない別種の性を確立していた。そして、舞台袖の目立たないところで踊っている成長過程の新人とみえる役者が、眼と表情、発声、両手足、自分が持ち得るすべての表現手段を動員し、まる...
2017.01.17 14:50ある映画をみて感じたこと先日、友人に誘われてある映画を観に行ってきた。1976年にデビッドボウイ主演で製作された『地球に落ちて来た男』という作品。デビッドボウイが亡くなってから1年、その追悼記念として神戸のアートビレッジセンターにて再上映されたのだ。 次に、本来であればこの映画のストーリーを、結末は明かさない程度にここで紹介することが、映画をわざわざこのような場所で取りあげる上での定石だと思うのだけ...
2017.01.05 09:15格差の末に先日、日経新聞にこんなインタビュー記事が出ていた。その中で、「反グローバルのうねりが出ています」という記者の一言に対し、教授は以下のように述べた。「英国の欧州連合(EU)離脱決定やトランプ氏の当選は、所得の二極化が背景にある。トップ層はいつまでも金持ちなのに、中産階級より下はどんどん所得が下がっている。昔はアメリカンドリームで成功するチャンスがあったが、今は少なくなっている」 僭越ながら...
2017.01.03 14:17「大人」は何も表さない。「二十歳以上」という意味以外のなんの形容にもならない。年長者への特別な敬意など必要ない。あくまで個人的見解に過ぎないけど、わりかし本気でそう思っている。 ぼくは、頻繁に公共の図書館へ足を運ぶが、新聞コーナーに「盗難はおやめください」という趣旨の張り紙が貼ってあり、雑誌置き場もところどころで「今月の『◯◯12月号』は所在不明になりました」と遠回しに盗まれた旨を示す札が貼られていたりする。ぼくはその図書館で新聞を読む若者の姿を見たことがないし、...