沢木耕太郎の言葉から
深夜特急シリーズで有名な沢木耕太郎が映画にまつわるあるエッセイでこう話していた。
『大人は過去を、子供は未来を映画に投影している。年をとるにつれ未来への夢よりも、過去の記憶の方が意味を持つようになる。』
なるほど。過去が豊富な大人は映画に出てくるキャラクターに過去の自分を重ね合わせることができる一方、子供はもともと過去(経験と言い換えてもよいだろう)の絶対量が少ないため、過去の投影は難しい。だから、アクションものや戦隊もののヒーローに、自分の未来、将来像を重ねる。
沢木氏が言うように、大人は思い出を大事にしすぎる傾向があるのかもしれない。それは、同時に今の自分を、過去によって規定させてしまうことをも意味する。かわいいかわいい自分の過去をひたすら踏襲する先になにがあるのだろう。
「敷かれたレール」
という言葉をよく聞くけど、敷”かれている”のではなく、実は自分で敷いているのだと思う。過去の自分によって無意識的に。
人間、人生のどこかでそれまでの過去の自分とは何の脈絡もない「意味のわからないこと」をするべきなんじゃないかってたまに思う。過去の自分を裏切るために。過去の自分に現在の自分を縛り付けられないために。
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