2017.02.21 13:59沢木耕太郎の言葉から深夜特急シリーズで有名な沢木耕太郎が映画にまつわるあるエッセイでこう話していた。 『大人は過去を、子供は未来を映画に投影している。年をとるにつれ未来への夢よりも、過去の記憶の方が意味を持つようになる。』 なるほど。過去が豊富な大人は映画に出てくるキャラクターに過去の自分を重ね合わせることができる一方、子供はもともと過去(経験と言い換えてもよいだろう)の絶対量が少ないため、過去の...
2017.01.23 04:49二度目の宝塚歌劇先日、宝塚歌劇月組公演『グランドホテル/カルーセル輪舞曲』を見てきた。自分にとって四年ぶり二度目の宝塚鑑賞であったのだけれど、今回の方が随分感動した。 男役トップスター(宝塚歌劇だからもちろん女性)は、もはや男でも女でもない別種の性を確立していた。そして、舞台袖の目立たないところで踊っている成長過程の新人とみえる役者が、眼と表情、発声、両手足、自分が持ち得るすべての表現手段を動員し、まる...
2016.12.01 15:07流行語大賞「神ってる」じゃ、5年後10年後このワードを聞いても2016年を何も思い出させないよー。これはカープファンにとっては失礼に値するのだろうか。ただこれはなんか違う気がするのです。”若者言葉だった「神ってる」が、広島カープによって巷のおじさんにまで浸透したため。”ってのが選考委員の言い分らしい。「神ってる」っていうワードが既に今年より前から一般化してる若者にとっては、何の新鮮味もなくシラけてしまう結果...
2016.11.23 15:06おすすめ番組どこもかしこもアメリカ大統領選の予測を大ハズししたとき、ふと思い出したテレビ番組がある。それは、NHK『ニッポンのジレンマ』という(個人的に超絶おすすめの)番組だ。毎月月末の放送なんだけど、前回は「文化と効率性のジレンマ」についてだった。そこでちょこっと話題に上がったのが、厳密性について。ぼくらはデータ(数字)を援用して未来を予測するが、そのデータ自体の厳密性(正確性)が担保されなければ無論予測も...
2016.10.25 14:55お酒と夜お酒と夜これ以上ない組み合わせ。「カレーと福神漬け」と相性の良さは同レベルにしても、語感と絵づら(おしゃれさ?)では「お酒と夜」には到底およばない。ぼくがこの組み合わせを好むいちばんの理由は、会話の深度が一気に増すからだ。お酒も夜も、人を饒舌にさせたり、感傷的にもさせる。ジョッキ三杯もあれば心地よい浮遊感を感じられる。その浮遊感は身体的な意味だけでなく、たぶん心に重く縛り付けられていた思いまで、軽...
2016.09.19 14:52残された時間で(2)午前5時すぎ伊勢の夫婦岩を後にし、志摩の海岸へ向かった。こんなに気持ちの良い朝を迎えたのは久々だった。サーフボードに上体をあずけ、波に揺られながら遠くを眺めているだけで心地よかった。これまで何千回と朝を迎えてきたわけだけど、ぼくはすこしも朝を眺めてこなかったことに気づいた。中高生のころは忙しない朝の時間を過ごすばかりで遠くの空を眺める余裕なんてなかったし、そもそも東京ほどじゃないにせよ神戸の空は狭...
2016.09.16 14:50残された時間でこんなタイトルをつけたらまるで余命宣告を受けたようだけど、”学生”という肩書きを充分に使いこなせないまま手放してしまった今、”若者”という特権さえもいつしか失ってしまうのだと思うと怖くなる。「いいよ、まだ若いから」甘えかもしれないけど、そんな免罪符が社会で通用してしまう寿命はたぶんもうそこまできている。そういう意味では、ぼくたち若者にとってこの一瞬一瞬は、どこで働いているかとかどれだけ給料をもらっ...
2016.08.29 14:48言葉の重み(後編)****************戦後数年間、物資が乏しくいかに生活が苦しかったか、そしてその生活が1950年の朝鮮戦争特需によって徐々に改善していったこと。隣国の”戦争”によって日本が潤い、自分自身の生活水準も向上していったことを気の毒そうに語ってくれた。ぼくはそのあたりで、思い切って聞いてみた。「失礼ですがおいくつなんですか」「昭和2年生まれや」終戦の年である1945年が昭和20年というのは覚え...
2016.08.28 14:47言葉の重み(前編)煩悩が煩悩を呼び頭がパンパンになったとき、ぼくはよく近所の銭湯に足を運びます。ただ、先日はその銭湯で、心まであったかくなるようなちょっと素敵な出会いがあったので、それを今日は書きます。****************ぼくは、いつものように片手に着替えとタオルが入ったバッグ、もう片方の手に入浴料と風呂上がりの炭酸ジュースが買えるだけの小銭を握りしめ徒歩で銭湯に向かった。午前中だったからか人はまばらで...
2016.06.14 14:24おすすめのラジオ番組こんな生き方をしている人がいるんだ。『オンザロード』から言葉を借りれば、「beat」とか、「hipster」って形容したらいいんでしょうか。野村訓市さんを知ったとき、ぼくはそう思いました。(野村さんも『オンザロード』を初めとしたビート文学を愛読しているそう。というか、それに影響されたのがぼくです。)野村さんを知ったきっかけは、ブルータスや他ファッション誌の誌面上でした。けれど、この人は最先端のファ...
2016.05.31 14:17言葉の虜「好き。」「美味しい。」「おしゃれ。」「かわいい。」「何か良いね。」ぼくたちはいつも自分の感情を、こんな言葉たちでラッピングして相手に送る。でも、そのラッピングは解かれることなく、若干消化不良のまま相手の頭を素通りしていく。「好き。」「嫌い。」とかそんな簡単な形容詞でしか自分を伝える方法を知らないから、複雑で入り組んだ感情は、その半分もたぶん相手には伝わらない。「好き」っていう言葉の意味以上に、誰...