残された時間で(2)

午前5時すぎ伊勢の夫婦岩を後にし、志摩の海岸へ向かった。

こんなに気持ちの良い朝を迎えたのは久々だった。

サーフボードに上体をあずけ、波に揺られながら遠くを眺めているだけで心地よかった。これまで何千回と朝を迎えてきたわけだけど、ぼくはすこしも朝を眺めてこなかったことに気づいた。中高生のころは忙しない朝の時間を過ごすばかりで遠くの空を眺める余裕なんてなかったし、そもそも東京ほどじゃないにせよ神戸の空は狭かった。学生のころは、朝なのか昼なのかよくわからない時間に起きることのほうが多かったかもしれない。

本来の目的であったサーフィンはというと、無理にボードに立とうとして、「うをーっ」と叫びながら豪快に転げ落ちたり。まったくもって恥も外聞もなく何時間もの間、海と格闘していた。それでも、必死で手をかき回し波に乗れたときには、えも言われぬ快感におそわれた。大仰な言い方かもしれないけど、地球と初めて自分の呼吸が合った、そんな感じだった。

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