お酒と夜

お酒と夜

これ以上ない組み合わせ。「カレーと福神漬け」と相性の良さは同レベルにしても、語感と絵づら(おしゃれさ?)では「お酒と夜」には到底およばない。

ぼくがこの組み合わせを好むいちばんの理由は、会話の深度が一気に増すからだ。お酒も夜も、人を饒舌にさせたり、感傷的にもさせる。

ジョッキ三杯もあれば心地よい浮遊感を感じられる。その浮遊感は身体的な意味だけでなく、たぶん心に重く縛り付けられていた思いまで、軽くしてくれる。そして、ぼくらから視界を奪い去る夜は、外側の景色に与えられていた視線を、自然と自分の心の内側へと落とさせる。

だから、お酒と夜には、心のなかの思いを軽くしてくれ、それを拾いやすくしてくれる力がきっとある。こうして、普段言えないことを言えたり、昼間に話したらクスッと笑われそうなかっこつけたセリフも吐けてしまえるし、聞く側としてもそれの耳触りが案外良かったりする。

これからの人生について、心に残るだれかの言葉について、自分の好きな小説、友達にぜひとも見てもらいたい映画、意味深げな詩の真意について、ぼくらの将来の行く末を左右し兼ねない日本や世界の政治について、ときには「好き」とは何か、「アート」の定義についてなど、高尚で哲学的でインテリぶった話題を、真剣に話せてしまうのがお酒と夜のいいところなんじゃないかって思います。そして、そんな会話をしている瞬間が、一番楽しいってぼくは思います。

これからさらに夜は長くなります。

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